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  • 2011.12.11 Sunday
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海へ…来て(ネコノカナエ)

 
カモメにはなれない飛べない地を這ってこの手をのばして探す指先


この空を飛べても朋は戻らない わたしの胸には海溝がある


さざ波が静かに寄せるつまさきに優しくしないで悔しくなるから


震えつつ夜を見上げた星の日に朋はとおくへ行ってしまった


とりあえずカムパネルラと叫ぼうか まだ朋の名は海に呼べない


謝らず普通に生きたい 朋でなくわたしがここに生きてることも


悲話だとか美談にしたてて「型」にしてそんな風に彼女を使うな


海風が北上夜曲を奏でだす朋と自分をまた比べてる


この胸に海溝がある もう一度踏み出すための深い静寂


でもそれでも林檎をかじる ここでまたわたしは生きていかなきゃいけない


何度でも姿勢を正して空を見る 誰かの分など生きられなくても


第37号巻頭作品「ハゼの名前についての雑詠」(梳田碧)


つきあかりふりさしやまぬとおあさのうみのそこえのギンガハゼだよ

ネジリンボウはねじねじと黒色斜走帯が4〜5本、みたまんま

「しょうねんのちんこ」と呼ばれしハゼもあり 特記無き吾が少年期譚

ふざけんじゃないよとパンダダルマハゼ珊瑚の枝でふて寝をきめる

ハゼなのにハゼのかたちをしていないコバンハゼ属、美しき体色

カニハゼという名はつけてみたもののこのハゼ未だ日本におらず

プリンセス・ミチコがかつてみみもとでアケボノハゼとささやきたまう

名付けてもなづけてもまだ名は足らずキラキラハゼとしてしまうなり



(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第29号巻頭作品「愛とはつまり5首」(yukky)

ひかるみち みずをまくおと ぬれるゆび その欲情はすべて有罪

ミルクティブラウン君の髪に触れ、愛とはつまり、生のうわごと

軋む朝甘い夢ごと突き上げて闇を切り裂く祈りのように

ほしいもの見つけるために生きたがり分け合うたびにまた死にたがる

23時59分好きだった さらば青春 はじめにもどる




(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第27号は夏休み。

こんにちは、さねともです。
本日8月15日、更新日に当たっておりましたが、諸般の事情により突然ながら夏休みとさせていただきます…。

楽しみにしてくださった皆様、まことに申し訳ありません。

しかしながらせっかく見にきてくださった皆様のために、穴埋め企画として『更新3時間前から書き始める私の好きな歌』をお届けしようと思います。

「どうせ古典でしょ?」と思った方々。

お願いです、どうかがっかりしないでください。。。



第23号巻頭作品「生死不明5首」(yukky)


美しき死などなければ生もなく信じることは諦めること

火花より儚き恋は君というたったひとつの命の証明

生死不明の僕が見知らぬあなたから発見された最終電車

花びらを剥いてる君をすぐにでも殺してそれが「生」ということ

どうせ僕らは精液にまみれる運命束の間の真実(ゆめ)乱反射する



(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第18号巻頭作品『携帯電話』(葵涼)

君が持つソレの中には少しだけ僕の居場所があるってウワサ


電話帳見返してみる 顔なんて浮かばぬやつが溢れてるだけ


淋しさを消す為だけに着うたを消してはイレテを繰り返してる


今日ぐらい鳴らなくたって良いじゃない ソレなんか捨ててしまえば良いのに


縛られはしたくないがコレがないと君と繋がっていられないかな


切り取った 一昨日 一昨年 色褪せて欲しい笑顔も鮮やかなまま


直接は触れられなくともいつだってソレと心で繋がっている



失って良いことも何も消えずとりあえず電源切って オヤスミ




一人に一台と言われる携帯電話。
良い事は保存。
嫌な事は消去。嫌な人は消去。

まるで人間の希望を叶えてるよう。

良かった事は忘れたくない。
嫌な事はすぐに忘れたい。

いつの日か人間も
頭にSDカードとか入れられるようになるのかな。

傷ついたことも
傷つけたことも

『要らない』と思えば

消せる時代が来るのかな。




(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第17号巻頭作品「BL短歌・お菓子8首」(yukky)


Chocolate?
Candy?
Marshmallow,
or cookie?
Caramel and more sweet one?

その熱で溶かして君の身体にも絶頂(エクスタシー)を教えてみてよ
宇宙からこの一粒が消えたなら、バイバイ、君と、甘い青春
その白で俺を誘惑できるなら触れてもいいよ、柔らかな夢に
焦がれても焦がれてもなお叶わない恋など所詮死の裏返し
フレイバーオブメモリー このままじゃ完全立方、急いでよ、yes!

パーフェクトスウィートタイム毒薬のキスも涙で濡れないうちに
この味を覚えた舌が届くまで夢路の穴は開けておいてよ




(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第16号巻頭作品『風の歌びと』(さねとも)

風ありて窓鳴らしをり風の名をもつ歌びとをわれ知れりけり


風の夜のうすくらがりに過ぐすとき今日の一人は明日また独り


寝ねむとし床にて今宵も歌を詠み君のごとくに天井を見る


こなたなる眺めはそなたに届かねど歌はこぼれて高し蒼穹


いづくとも分かぬゆくへを思ひ描きともに飛ばなむ風の歌びと


--

2009年1月24日(土)、大事な友人が一人、亡くなりました。
私のところには、その3日前にメールがあったのが最後でした。

上記の歌は、彼の一周忌の時に詠んだものです。

私は彼の忌日を勝手に「風の忌」と呼ぼうと思っています。
なんか分らないけど、どうも似合ってる感じがしました。




(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

5月の空に☆短歌日記

<1日>

奪われたすべてを奪い返せいま風高く吹け五月一日



<2日>

待ちわびて桜を映す中津川歩けば綿毛は応えて空へ



<4日>

セーターをたためばいよいよ新しい五月は春から初夏へ踏み出す



<6日>

連休の昼より平日朝に混む普通の駅のこの駅が好き



<9日>

「ハナミズキはまだつぼみです。元気です。」たまには写メールなんかしてみる



<14日>

足元に広がる空が七日前より伸びてゆくあぜ道に立つ






(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています

第10号巻頭作品(yukky)

『BL短歌・テニス5首』

その性は重なるための運命と抱いた冷たい呼吸0-0(love-all)

別々の熱は必然のサヨナラその痛みなら15-15(fifteen-all)

泣き濡らす同じ形の生殖器その虚無こそが30-30(thirty-all)

無条件のアドバンテージ苦しいよ結ぶ躰に約束してよ

東京の空は快晴、いまいちど痛みを見据えてハイジャンプする




(このウェブサイトに掲載されている情報は、著作権法に基づき保護されています


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