ちょっと今回は本筋を外れた話を。
実は、モテそうな趣味を見つけたんです。
ロードバイク。ようするにちょっと本格的な自転車です。
アウトドア。健康にいい。そして、いま流行り。
どうですか?モテそうでしょ?
きっかけは友人の紹介。
なにか直感的なものを感じて、思い切っていい奴を買いました。給料、まるまるひと月ぶん。
ペダルを踏んだ瞬間、うひい、と思いました。実際は、うっほほほと叫んでいたようです。踏めば踏むだけ力がスピードに変わり、スピードは問答無用
で僕を動かします。左右に体重を動かせば、車体はそれに追従し、タイヤのゴムをアスファルトに押し付けて弧を描きます。その、自転車に乗ることで起きる当
たり前の事実が、異常なまでに鮮明で、激しくて、僕は、やっとくどいた女の子のパンツに手を入れるときと同じくらい興奮していたのです。
それから、僕は毎週末を楽しみに働きました。
今週はどこに行こうか、そればかりを考えてじっと平日を過ごして、
土曜日の早朝からチェーンに油をさし、タイヤに空気を入れ、ヘルメットにサングラスで、1日100kmほどを走り続けました。
すこしタフな仕事が続いて疲れていても、かならず早起きして走っていました。まるで、恋人に会いに行くみたいに。
自転車のいいところは寡黙である所です。
どれだけ道に迷っても苛立たないし、僕がいら立って乱暴にペダルを踏んでも、まっすぐに進みます。平日の夜に電話をかけてきて困ることもなければ、半年とか一年とか、暦でプレゼントをねだることもない。
でも、いや、だからでしょう。僕は貢ぎ続けました。
10000円のペダル。20000円のサドル。100000円のホイールに、前後10000円のタイヤは1月ごとに交換。ほかにも、遠乗り用のバックに、ライトに、その他、もろもろ。
それらを平日に組み付けて、休日に一日乗る。ふた月もしたら、僕のすこし丸くなっていた顔は鋭くなり、身体も締まりました。
レースにも参加しました。目指すのは完走ではなく、ひとつでもはやくゴールに飛び込むことです。
激しいレースの中で感じためくるめく官能性は、はじめてのセックスよりも眩しく、強く、おかしなくらいに僕を灼きました。僕はまずまずの成績でゴールできました。しかし、満たされたのは一瞬で、僕は帰路のさなかで「優勝できなかったこと」に激しい焦燥と渇きを覚えました。
それから、僕はローラー台という器具を買いました。これを室内に置いて、自転車をその上で漕ぐのです。僕は平日もまっすぐ家に帰って、このローラー台の上で、ペダルを踏み続けました。
いまも、僕はサドルのうえでこの文章を書いています。
僕はいま、勝つことしか考えていません。
勝利以外はすべて否定される。
それがこの世界です。
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というのは大げさですが、買ったものはほんとっす。
いや、もっと買ってるわ。うん。あ、出力計(壱拾萬也)も買いました。
「ねえねえ、俺んちパワータップあるんだけどさ、FTP、計らない?」とか言えばみんなイチコロだと思うのですが、もっとモテなくなりました。なぜだっ。
いやね、確かにお金は使っちゃったし、部屋はチャリまみれだし、合コンやなんやにはいってないけどさ、みんなFTPとか興味あるっしょ?
いや別にレースだけはなくてツーリングするにも知っといたほうがさ、計画立てやすくなるしさ、あ、最近みなさんどこツーリング行きました?僕四国
言ったんですよ四国。いやお遍路じゃなくてただぐるっとね。んー、4日で半周くらいでござるよ。ふひひひひ。え、フレームでござるか?拙者はジャイアント
のカーボンでござる。なんとジャイたんを愚弄するとはデュクシ!デュクシ!オウフ!ジャイアントはツールでもつk【終わり】
※勝利以外は全否定、というのはプロくらいなものです。ホビーレーサーさんにはそれぞれの目的や価値がありますし、レースにでるだけが自転車でもありませんよね。
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おぉう!!!
( ̄○ ̄;)
内容にも圧倒されましたが(笑)
柚木さんの目がギラギラしてるのは確信しました(^_^;)
いなないた
チェーンの叫び
振り切って
飽くなき欲を
ペダルに乗せて
おそまつ(`∇´ゞ(笑)