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短歌をはじめたころのわたしへ(11)『サラダ記念日』を読んでみよう

 こんにちは。
「短歌をはじめたころのわたしへ」
毎月、短い手紙を書いています。

震災以降、すっかりローテーションが狂ってしまいまして、
更新が滞ってしまい申し訳ありません。
かくいう私自身、ただいま絶賛繁忙期中。あな、いそがしや、いそがしや、なう。

少しでも季節感を出すために、今回はこの歌を取り上げたいと思います。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日



短歌に興味をもち、学び始めた人のなかで、
まさかこれを知らないかたはいないでしょう。
歌集としては異例のミリオンセラーとなった、俵万智さんの『サラダ記念日』のタイトルのもととなった代表歌です。

あ、でも、
『サラダ記念日』の初版がでたのって、1987年。もう25年ちかく前のことになるんですね。

25年といったら、四半世紀。

若いひとにとっては、すでに「古典」なのかもしれません。

今回は、この歌を例にとって、
短歌の「読み方」のサジェスチョンをしていこうと思います。

俵万智さんの歌は全体的に「わかりやすく」「親しみやすい」と思われていますが、それだけではここまでのヒット作はうまれていないと思うんですね。

短歌は、韻文(詩)です。

散文(文章)は「意味がわかりやすい」ということがいちばん大切なポイントになるのですが、韻文(詩)は、ときに「書いていないこと」を読まなくてはいけません。

「書いていないこと」を読むなんてエスパー?いえいえ。

カンとか、予備知識とか、そういうものもときには必要になりますが、たいていは訓練で読むことができるようになるんです!!



※ポイント1、まずは意味を分解してみましょう

この歌に「書いてある」ことは、散文(文章)として解釈すると以下のようになります。
短歌は文字数が少ないので、カッコ内で意味を補足します。万智さんの歌は解釈不要と思われがちですが、ひとつひとつ丁寧に見ることによって、みえてくるものがあるんですよ〜。
(わたしが作ったサラダを食べて)「この味がいいね」と君が言った
(わたしはそれがとてもうれしかった)から
(わたしのなかで)七月六日はサラダ記念日(と名付けられた)。


※ポイント2、物や情景にこめられた気持ちを探してみましょう

「わたし」と「君」。恋人同士のささやかな「記念日」の情景です。
オンナノコは、とかく「はじめて」を大切にしたいものです。「付き合った日」「キスした日」「指輪をもらった日」などなど。

そんなたわいもない日常の「はじめて」を、「記念日」ということばに結びつけたのは、この歌が広めた現象でした(いまではフツウに「付き合って○○年目の記念日ね♪」と言われるようなことも、この歌以前にはなかったのだそう)。

デートで外食してサラダを食べた程度では、「サラダ記念日」にはなりませんね。これは、「わたし」が「きみ」に(おそらくはじめて)手料理をふるまった日を詠んだものです。
はじめて手料理をふるまう、ということは、お互いの部屋を行き来しはじめてまだ日が浅いころでしょう。この「新鮮な気持ち」や「ちょっと背のびしたお洒落感」が「サラダ」というメニューの選択に込められています。


※ポイント3、声にだしてみましょう

次に、この歌を発音してみます。
onoajga(5音)
Iineto ga(7音)
tta ara(5音)

Shchgatsu Muaha(8音)
rada nennb(7音)

音をアルファベットに直してみると、何かに気がつきませんか?
上の句は「」「」、下の句は「」が、効果的に使われているのがわかると思います。

」を多用した上の句は、きっぱりとした印象で、「きみ」の言葉や雰囲気を伝えています。きっとかっこいい彼なのでしょうね。

転じて「」は「シャキシャキ」っとした語感で、サラダのみずみずしさを強調しています。

はっきりいって、この歌のいちばんのポイントはこの「語感」だとわたしは思っています。これが「おいしいね」とか、「うまいよ」とかだったら、歌の雰囲気はぜんぜん違うものになってしまうんですよ〜。


※ポイント5、歌の中に強い名刺や具体的な数字がでてきたら調べてみましょう

この歌で、小道具としてだされているものは、

ポイント2に例としてあげた、「サラダ」というメニュー。
そして、「日付」/「記念日」という言葉です。

7月6日」というこの日付は、何を意味するのでしょうか。
短歌は音数が少ないので、この歌のように「具体的な数字」の印象は強く働きます。必ず意味があると思ってください。

7月。初夏ですね。
梅雨があけ、木々の葉も青々と茂り、生命力を日ごとましていく季節です。
上にも上げたように「Shichigatsu」のS音(Nanagatsuではない)が、季節のさわやかさを強調します。

ふたりだけの記念日なんて、女は勝手にいろいろ決めたがる〜、と、男の方はめんどくさく思われるかもしれませんが、まぁまぁまぁ。手帳を捲ってみましょう。
カレンダーを見ると、その翌日にはこう書いてあるのが見えるでしょう。「七夕」と。

あ、七夕の前の日なんだ
このことに気が付くと、歌にぐっと深みが増します。日付の設定は、ただの思いつきではないのです。季節のパワーや、行事のパワーも巻き込んで、歌の世界は広がっていくんですよ〜。


※ポイント6、作者のインタビューや裏話をさがしてみましょう

最後に、カンニング(笑)。
これほどの代表歌なので、作者のインタビューなどを読むと、いろいろな裏話を知ることができると思います。

この歌は、もともとは「カレー味のからあげ」の歌、だったのだそうです。
つまり、実体験として味をほめられたのはからあげだったと。でも、「からあげ記念日」じゃ、恋の雰囲気もなにもないですもんね〜。

歌には、真実をベースにした演出や、嘘も許されるのです

その題材のとりあげかたも、ひとつの才能ではないかと思うのです。
いかがでしょうか?

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