カモメにはなれない飛べない地を這ってこの手をのばして探す指先
この空を飛べても朋は戻らない わたしの胸には海溝がある
さざ波が静かに寄せるつまさきに優しくしないで悔しくなるから
震えつつ夜を見上げた星の日に朋はとおくへ行ってしまった
とりあえずカムパネルラと叫ぼうか まだ朋の名は海に呼べない
謝らず普通に生きたい 朋でなくわたしがここに生きてることも
悲話だとか美談にしたてて「型」にしてそんな風に彼女を使うな
海風が北上夜曲を奏でだす朋と自分をまた比べてる
この胸に海溝がある もう一度踏み出すための深い静寂
でもそれでも林檎をかじる ここでまたわたしは生きていかなきゃいけない
何度でも姿勢を正して空を見る 誰かの分など生きられなくても